心象風景をこれだけちゃんと映像に出来るのはすごいなぁ、と思ってしまいます。
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配偶者によると、映画の1時間55分辺りで分家の蒔岡貞之助が
四女・妙子の以前の駆け落ち相手の奥畑と喫茶店で会う場面があるのですが、
内装の感じからしてあの喫茶店は以前三宮にあった「ジャズ喫茶バンビ」に
違いないというところがツボだそうです。
で、「バンビ」では多分こんな感じの曲がかかっていたと思い込んでいます。
以前に登場したTakehiro Honda「Softly As In A Morning Sunrise」です。
嵐山の雨の渡月橋と桜の場面から始まり、
三女・雪子が中華料理店(三宮の「第一樓」をイメージしていると思われる店)で
見合いが失敗に終わる約1時間少しの間に、この場面のモデルはあの場所かなぁ、
ここのイメージは多分あそこやろなぁ、と思いめぐらせることができる映像が
次々と展開され、物語の中へ入りこんでしまいます。
4月22日(月)
PC用のスピーカーが壊れてしまったので
三宮へ新しいのを買いに出かけた帰り道、阪急の高架下を通っていると、
並んでいる店のレトロさに「細雪」を思い出します。
「細雪」の中で人形作りをしている四女・妙子が
「鯉川筋の画廊で個展を開く」という台詞があります。
家に帰るには鯉川筋を越えていかなければならないのですが、
店を見て歩くだけでも楽しい所があるので、
そこを通って鯉川筋を越えることにします。
トアロードから適当に路地を西へ入ります。
ひとつ目の交差点。
まだ11時にもなっていないので開店準備の最中のようです。
家に帰るのでとにかく西へ。突き当れば山側へが原則。
ふたつ目の交差点の海側では、店の外にテーブルを出して何かしているようで
気にはなるのですが、何をしているのか聞く勇気はありません。
山側の左に折れる路地の突き当りは普通の民家のようです。
みっつ目の交差点はT字型になっていて
海側に大丸神戸店。その手前にJRと阪急の高架。
最近ではこの辺りでは珍しいラブホが残っています。
原則に従ってT字型交差点を山側へ歩くと五叉路に出ます。
選択は三つ。
侵入禁止マークの道で生田新道に出るか、
「紅宝石」の前の細い道で生田新道と鯉川筋の交差点に出るか、
おじさんが横切ろうとしている道へ入るか、
で迷ったのですが、
日差しが強くなってきたのでおじさん道にします。
おじさん道の突き当りで五叉路の方に振り返ります。
ビールのケースのせいか、下ごしらえをしている中華の店のせいか、
まだ10時半過ぎというのに餃子で一杯飲みたくなります。
おじさん道の突き当りを右に山側へ。
山側へ少し歩いて突き当りを西へ。
鯉川筋と生田新道の交差点近くに出てきました。
車が停止している道が鯉川筋で山側の方を向いています。
トアウエストにはファッション関係の店や飲食店が混在していて、
ぐるぐる歩いて回っても飽きない所ですし、そんなに広いエリアでもないので
結構濃密感はあります。
交差点を山側へ渡って海側を見ても、
山側を見ても、「細雪」の「鯉川筋の画廊」らしきものが見つかりません。
「こいさん、画廊探しましたけどありませんねん。えらいすんません。」
ひょっとしたら元々画廊は無かったのか、あってもその後の終戦や水害、
地震などで無くなっているのかも知れません。
それにしても三女・雪子が中華料理店で見合いをする場面で、
次女・幸子が夫を手招きで呼ぶ時の所作が、
まだ私が子供の頃母がよくしていた所作と全く同じで、
今となっては懐かしさはあるけれど、
当時の私は嫌で恥ずかしい所作と思っていたことを思い出しました。