John Mayall「The Mists of Time」
10月8日(月)午後5時半頃、昼間は暑いと思うのに日が落ちるのが随分早くなりました。夜は寝やすく夏バテをした体には助かります。
やはり食欲の秋になったのでしょうか、
「元町ケーキ」の「ざくろ」を濃いコーヒーと一緒に無性に食べたくなったので、
晩ご飯にケーキと相性が良いであろうマカロニグラタンを作って貰います。
ホワイトソースは手作りすると味が定まりませんので、躊躇なく市販されているものを使います。
私が小学生の頃には、グラタンという言葉の響きだけで物凄くハイカラな食べ物という印象がありました。
母は洋食が好きで嫁ぐ前は、祖父(母の父)によく食べに連れて行って貰ったようです。恐らくその時グラタンも食べたことがあるのでしょう。
ある時母は、父も好物のグラタンをどうしても作りたくなったのでしょう、何とかチーズなどその頃は手に入りにくい材料も工面してきました。
こういう時の母の集中力と行動力はかなりのものでした。
鶏もも肉を焦げ目が付く位まで焼いておきます。
鍋にバターを入れタマネギもしんなりとなるまで炒め、先の鶏もも肉を入れて馴染ませます。
馴染んだら、いったん火を止めて牛乳、ホワイトソースの素、マカロニを入れて煮込みます。
母の作り方は分かりませんが、オーブンなんか無いのにどうして作ろうとしたのか、無謀な試みでした。
私は自分でも時々変なことしているなぁと思う事があるのは、母の血を受け継いでいるからかも知れません。但しその集中力や行動力は継いではいないと思います。
適度のとろみが付いたらグラタン皿に移し、チーズをたっぷり載せ、風味と焼き色を付けるためにパン粉、バターを散らし、オーブンで焼きます。たっぷりのチーズが風味とコクを作ってくれます。
母が置いたフライパンには、白いベタっとした煮物が入っていました。
食べるとホワイトソースを焦がしたのか、鼻に変なにおいが纏わりついて離れません。父は無言で食べています。さすがに「おいしくない。」とは言えず私も黙って食べたのですが、匂いとベタつく食感にもう二度と食べたくないと思いました。
チーズの焦げ目にそそられます。白パンと赤ワインで頂きます。
再び食べるきっかけは、友人たちとお酒を飲んでいて偶然取り分けて貰った小皿に入っていたマカロニグラタンを食べた時、「これおいしいなぁ、何や?」と聞くと「え~知らんのんか?マカロニグラタンやんか」。
これがグラタンか!おいしい!
さすがにこの頃になると、母はこれを作りたかったのだろうという事は私にも理解できるようになっていて、二度と見たくも食べたくもないリストからグラタンは削除されました。
私たちは二人とも両親が既に他界していて、普段は全く忘れているのですが、何かの拍子に突然思い出すことがあります。
よく言われるように「年を取ると、昨日の晩に何を食べたか思い出せないのに、はるか子供の時の光景は細部まで思い出す。」そうですが、今回は母の作ったグラタンの匂いまで思い出しました。
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