がたろ横丁で 行き暮れ泣いて
ここが思案の 合縁奇縁
おなごなりゃこそ 願かけまする
恋の思案の 法善寺
フランク永井が歌います「大阪ぐらし」。
まだ路地を楽しみたいと配偶者がおっしゃるので、法善寺こいさん通りを西へ、西へと向かいます。
「おっ!ローリングストーンズや!」(配偶者・談ですが、声がでっかい)
《お客さん、また食いついてまっせ〜。(暁伸・ミスハワイの暁伸の口調で、ダークサイドの私)》
絶好調の配偶者は、御堂筋まで来ると「ああ、お腹空いた。自由軒のカレーを所望じゃ。」
とおっしゃるので、千日前商店街まで引き返し「自由軒」を目指します。
二人とも何がしたいのか、どこに行きたいのか、よう分からんまま、ただウロウロしています。
「自由軒」の名物カレーは決定しているのですが、他にどんなものがあるのかショーウインドウを覗きます。
織田作之助好み/名物カレー/(並) 750 (大) 950。
右横にある 混ぜない/別カレー/(並) 700 (大) 900 も気になりますが、
トンカツのサンプルに吸い寄せられたので、もう一品はこれで決定です。ただAセット、Bセットにも心惹かれそうになります。
ここでもアジアの観光客がたくさん入っていて、 店の中は老若男女で満員です。
店のおばちゃんは、アジアの観光客に「サイド・バイ・サイド」と言いながら、一人、二人でテーブルを占領しないよう、相席で横並びに座るように促します。
おばちゃんの気迫に誰もがその指示に従います。もちろん私たちも。
名物カレーです。
「食べ方」指南があるので、まずはその通りにして頂きます。
おいしい!とご満悦の配偶者。
TVや元町大丸の地下食料品売り場で実演販売しているの見ていた限りでは、これは私には辛過ぎるかなと思っていましたが、大丈夫です私の口にも合うおいしい辛さです。
トンカツがきました。
歩いて喉が渇いているので、ビールも頼んでいます。
おいしい!とご満悦の私。
思うよりも肉厚で、火の通り具合の塩梅がよくて、硬くなく柔らかくもなく豚肉の風味があります。
付け合わせも定番で、思い込み通りの味にウンウン、と頷いてしまいます。当然、配偶者に異論のあろうはずがありません。
暖簾に染め抜かれた「大衆洋食」に偽りはありません。肩肘張らない懐かしくおいしい洋食の味に満足します。
女将さん、今度は他の洋食も食べてみます。顔が半分隠れてスミマセン。
食後の甘味は「夫婦善哉」が待っています。楽しみです。
腹ごなしに、二人とも行った事がない「なんばグランド花月 」へ向かいますが、途中で見つけた「珉珉」のでっかい提灯に釘付けになってしまいます。
ごっついのん、吊るしとるなぁ〜。
今更ですが「なんばグランド花月 」界隈も大変な賑わいです。
私達はキョロキョロしていて、落着かない観光客特有の動きになっています。
おっ、花月や!
へぇ〜、こんなんも、あるんか。
道具屋筋や。
あっ、思い出しました。何を買いに来ていたのかは思い出せませんが、ここは父親と来た事があります。
西宮で生まれ育った父は、これといった買物は神戸ではなく、大阪へ出掛けていました。昔々まだ珍しかったテレビを買う時も、わざわざ日本橋の電器屋さんまで出掛けていました。
千日前筋を法善寺横丁まで帰ってきました。
うまい具合に、おやつの午後3時頃になっています。
店内の壁には、「蝶々・雄二の夫婦善哉」というラジオ・TV番組に出演していた、ミヤコ蝶々・南都雄二の写真があったり、
1955年に公開された映画「夫婦善哉」で、夫婦役を演じた森繁久彌・淡島千景の写真があります。
どちらも観たような気もするけれど、人の話を聞いて観たつもりになっているのか、よう分からんなぁと、ぼんやりしているとぜんざいが運ばれてきました。
一人で二椀ずつ頂きます。
お餅ではなく白玉のもっちり感が楽しく、添えられる塩昆布も柔らかくておいしく頂きました。
文字通り夫婦で食べると円満になるそうです。険悪な雰囲気は厭ですから、ご利益がありますように。
甘いもので口を落着かせたところで、そろそろ帰る事にします。
御堂筋の難波まで来ました。道頓堀橋から見る戎橋です。
闇雲にウロウロして、緊張したり懐かしい雰囲気に浸ったりと、あれやこれやでちょっと気持ちが高ぶっています。
梅田まで地下鉄で行きたいのですが、高ぶりを静める為に、来る時に降りた心斎橋駅まで御堂筋を歩きます。
梅田の阪急百貨店で九州の物産展があり、配偶者は好みではないのですが鹿児島独特の甘い醤油を試してみないか、と私にお薦めがあり買わせて頂きました。
《自分の好みで無いものを人に薦めるな!みたいな野暮言うたらアカンよ。(ダークサイドの私)》
阪神百貨店では、
「日本橋とり鹿」の鳥もも焼き、ももの竜田揚げ、
三宮に阪神百貨店・食料品売り場があった時に良く買った焼きそば用の麺、
甘い醤油を試したいのでマグロの中トロ切り落とし、
などを夕食用に買いました。
甘い醤油は、焼豚用のタレの味に似ていて、マグロの脂身のおいしさを引き出します。私は、なる程これはこれでおいしいと得心します。
配偶者も「昔と違っておいしくなってる。」とおっしゃるので、遠慮なさらず使って下さいよとお薦めすると、「そんなにいらん」ときっぱりでした。
3時のおやつに、ぜんざいを食べているのに、梅田大丸の「喜八洲」で酒饅頭と、豆大福を買っています。
どこまで甘いもん好きやねん。
地方都市・神戸市在住者には何やかやと刺激があるので、
今度はもうちょっと的を絞ってミナミへ行こう、
と思うのでした。