神戸でしか通用しない言葉

今回はジャズで踊った人の話がありますので、

BENNY GOODMAN「SING, SING, SING」です。

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神戸について自分の知っていることを整理しようと、

神戸を語る視野に深度がある、と私は思っている、

陳舜臣の「神戸ものがたり」を参考にします。

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神戸独特の言葉もあまり聞かなくなりましたが、「神戸ものがたり」では、そんな言葉が紹介されています。

ガミつい

菊田一夫氏は「ガメつい」ということばを全国的に流行させた。これは少年時代、神戸元町の珍物屋にいたことのある菊田氏が、神戸ことばの「ガミつい」を、麻雀用語の「ガメる」にからませて、つくったものである。

 「ガメつい」という言葉は「欲どしい」という意味で使うことは知っていますが、神戸ことばの「ガミつい」は知りませんでした。身近で使う人はいなかったように思います。神戸でも地域によって違ったのでしょうか。

 

トッパな

ほかに神戸独特のことばで、「トッパな」というのもある。おっちょこちょいの意味だが、サービス精神を盛りこんだ道化的性格を形容することばだ。

・・・

大正時代、白昼の繁華街で、赤マントを身につけて歩く画家がいた。「赤マントの朝やん」と呼ばれた今井朝路でこの人は今東光の小説『悪童』のなかに、実名で登場している。

赤マントではありませんが、頭の天辺から足の爪先まで、何もかもピンクづくめのおっちゃんを、阪神淡路大震災後も三宮で時々見かけていましたが、いつの間にか見かけなくなりました。

多分赤マントやピンクのおっちゃんのことをトッパな人というのでしょう。

阪急とJRの高架に挟まれたこのあたりでピンクのおっちゃんをよく見かけました。

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トッパな人をもう二人。

もう二十年近く前になるかも知れません。

何のジャズコンサートか忘れたのですが、四十は越えているであろう男の人が、突然バンドの前で踊り始めたところ、知り合いの元宝塚の姉さん(姉さんです。おばさんではありません。と断っておかないと後で怖いことになる。)がさっとそばに行って踊りの相手をし、曲が終わると拍手のなか引きあげてゆきました。

元宝塚の姉さんに「あの男の人は誰」と聞いたら「あの〇〇のオーナーやんか」と神戸の有名なお菓子屋さんの名前を言われてびっくり。重ねて「姉さんはなんで踊りに行ったん」と聞くと、「そんなん、男の人を舞台で一人でほっとかれへんやろ」の返事でした。この姉さんこそ私たちに「神戸にはトッパな人、という言い方があるねんで」と教えてくれた人です。

あなた方二人は、リッパなトッパな人たちです。

 

バラケツ

バラケツということばも、神戸特有のものだ。「不良少年」の意味だが、ふつうのヤクザとはすこしニュアンスが違う。語源は、「ばらくる」━「ほどける」━崩れた人間、というが、これは定説ではない。

バラケツは 「バラケツ、おけつで、いんじゃんホイ!」 と、じゃんけんの時の掛け声でした。

陳舜臣が言うように、「ガミつい」「トッパな」「バラケツ」は、

・・・きいただけで、なんとなく意味がわかるような気のすることばである。・・・どこか擬声語的なかんじがする。

 

今ではほとんどこれらの言葉は使われていないように思います。

何か月か前にNHKで、俳優の古田新太が出身地の神戸を紹介する番組があって、高架下の商店街でトッパなファッションだけど、受け答えは地味な男の子にインタビューしている場面があって、「今でもこんなやつおるんや」と私は嬉しくなってしまいました。

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「トッパ」は受け継がれているようです。